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【FEエンゲージ】邪竜ソンブル復活|ストーリー解説⑩

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ファイアーエムブレム エンゲージ — ストーリーガイド⑩

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第10章:邪竜ソンブル

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ストーリーあらすじ

神竜軍はモリオン王救出のため、イルシオン領内のデスタン大教会へと急行する。

そこは邪竜ソンブル復活の儀式が執り行われている場で、モリオン王も生贄として連れ込まれていた。

教会内部に突入したリュールたちの前に立ちはだかったのは、ハイアシンス王と“異形のモリオン”──邪竜の力で復活し操られたモリオン王の亡骸だった。

モリオン王は青白い肌と虚ろな瞳で咆哮し、人間だった頃の理性は既に失われている。ディアマンドとスタルークは父の無惨な姿に息を呑むが、もはや目を覚まさせる術はなく、自ら手にかけて止めを刺す決意を固めた。

父上…お許しください…!」と心で詫びつつ、二人の王子は剣を抜く(戦闘前会話より)。

邪竜教団側には他にも戦力が集結していた。まず、妹オルテンシア紋章士ベレトの指輪を与えられて参戦してくる。オルテンシアはアイビーが戻らないことに不安を募らせつつ、父に認められたい一心で新たな指輪を握りしめた。

さらに父を喪った悲しみと怒りで憔悴するディアマンドを嘲るように、ハイアシンス王は高笑いを上げます。彼はエンブレム・リンの力で己を強化しつつ、「フハハハ!見よ、ブロディアの王よ。貴様の息子たちがその手で貴様を斬る様を!」と嗤いた(※戦闘中会話)。

遺骸に成り果てたモリオン王をも道具扱いするハイアシンスの残酷さに、リュール達は激しい憤りを覚える。このようにして教会内での壮絶な親子対決が幕を開けた。

戦いの末、神竜軍は異形のモリオン王とハイアシンス王を撃破する。復活したモリオン王はディアマンドたちの手で完全に葬られ、父の仇であるハイアシンスも力尽きる。

モリオン王の亡骸が倒れる様子を見届けたディアマンドとスタルークは、沈痛な面持ちで剣を収める。

しかし勝利も束の間、すぐさま場に異変が起こる。戦闘終了後、立ち尽くすディアマンドの背後に黒い影が忍び寄った。

フードを目深に被った小柄な人物が不意に現れ、ディアマンドの剣を弾き飛ばしたのである!

さらにその人物は倒れたハイアシンス王を庇うように立ち塞がった。

リュールがハッと目を凝らすと、そのフードの人物こそ以前出会ったヴェイルだったのだ!!

そう、なんと彼女の正体は邪竜ソンブルの娘にして第一王女だったのである!!!!!

この意外な再会にリュール達が言葉を失う中、「フフフ…」という不気味な笑い声とともに場に黒い瘴気が立ち込める。

邪竜ソンブルが、復活の儀式を経てついにその姿を現したのである。

ソンブルはモリオン王の生き血を受け取ったものの完全復活には至っておらず、「まだ本調子ではない。儀式を行わねば」と呟く。

それでも立ち上がれる程度には力を取り戻したらしく、邪竜の威圧感に場の者たちは震え上がった。

ここでソンブルに従う“四狗”も一斉に登場。セピア、グリ、マロン、モーヴと名乗る4人の幹部がリュール達を嘲笑しつつ囲む。

画面狭しと集結する大量の敵(邪竜 + 四狗 + ハイアシンス + オルテンシア + ヴェイル)に、リュールは思わず「人が多すぎる…!」とツッコミを入れるほど(実際ゲーム画面でも敵側ユニットがずらりと並び、壮観な自己紹介シーンとなりました )。

セピアは四狗のリーダー格と思しき妖艶な女性で、「歓迎するわ、神竜様♡」と小馬鹿にしたご様子。グリは狂気じみた笑いを浮かべる魔道士、マロンは大盾を構えた小柄な少女でニヤニヤしている。モーヴは長身で寡黙な重騎士と、一見まともそうな雰囲気。

彼ら“四狗”はソンブルへの忠誠を誓い、敵対する者は例外なく始末すると宣言した。

降りかかる絶体絶命の危機に、神竜リュールは咄嗟にマルスの紋章士に語りかけ助力を乞おうとする。

しかしその瞬間、不意にヴェイルが顔を上げた。彼女の両目は赤黒く光り、優しい友人ヴェイルとはまるで別人の冷たい声でこう告げた。

ここで貴方に死なれてしまっては困るんです」と 。そして不気味な笑みを浮かべると、ヴェイルは神竜軍が所持する全ての指輪を謎の力で宙に浮かせて奪い取ってしまう。

さらに竜の時水晶(巻き戻しの力を持つ神器)までも掠め取られてしまい、あまりに突然の出来事に呆然とするリュール達。リュールは「返してください!」と思わず叫ぶが、ヴェイルは嘲るようにせせら笑うだけ。

邪竜の娘ヴェイルは大胆不敵な盗賊の如く指輪を奪い去り、リュール達から一切の力を奪う。このあまりの絶望展開に、プレイヤーも茫然自失となるばかり。

邪竜側は歓談を楽しむかのように嘲笑し合い、復活の喜びに浸っている。辛うじて一命を取り留めたハイアシンス王もソンブルの足元に跪き、指輪確保の褒美としてヴェイルに頭を撫でられていた(※暗示)。

一方神竜軍は丸腰同然で、ここに留まれば全滅必至「撤退だ!」とのディアマンドの号令一下、リュール達は総崩れになりながら教会からの退却を開始した。

キャラクターの心理描写と関係性

ディアマンドとスタルーク

二人の王子にとって第10章は茨の試練だった。開幕では父モリオン王の異形兵となった姿と対峙し、文字通り「父殺し」を決行せねばならなかった。

ディアマンドは「父上…俺は…!」と震える声で叫び、スタルークも「父上、どうして…」と悲嘆に暮れる(戦闘前イベント)。それでも彼らは騎士としての責務を全うし、自らの手で父を葬り去る。

戦闘中、ディアマンドVS異形モリオンの特殊戦闘会話では「父上…見ていてください!ブロディアは負けません!」と叫び 、スタルークVS異形モリオンでは「僕は…僕は王子失格です…!でも、父上をこのままには…!」と涙ながらに斬りかかる。

ふたりの胸中には、父を手にかける罪悪感と憎き邪竜への怒りが渦巻いていた。最終的にモリオン王が絶命すると、ディアマンドは目を伏せ「父上…安らかに…」と呟く。スタルークも無念の涙をこらえつつ、戦闘後のムービーでは気丈に周囲を警戒していた。

しかし彼らの試練はそれだけでは終わらなかった。この直後、邪竜ソンブルが出現し、モリオンの死を嘲笑うかのように四狗らと登場する。ディアマンドは激昂して「ハイアシンスめ、父上を弄びよって…許さない!」と剣を振り上げハイアシンスに止めを刺そうとするが、ヴェイルに阻まれて果たせなかった。

止めを刺し損ねたことがこの後の惨劇を招いたとも言え、ディアマンドにはさらなる重荷がのしかかる。

また、彼はモリオン亡き今ブロディア国王の責務を負う身でもある。モリオン王の遺言とも言える「勇敢に戦え、恐れるな」という教えを胸に、ディアマンドは悲しみに耐えながら前に進まねばならなかった。

一方スタルークは、兄以上に心の傷を抱えた。モリオン戦後のスタルークは自分を「王子失格」と卑下し、父を守れなかった無力さに打ちひしがれている。彼は支援会話でも「僕には重すぎる…」と王族の責務から逃げたい気持ちを吐露しており(スタルーク×ラピス支援B)、ブロディア家の将来に不安を滲ませている。

ディアマンドとスタルーク、それぞれの立場で悲嘆を抱える兄弟だが、この後の物語で互いに支え合い立ち直っていく姿が丁寧に描かれていく。

ヴェイル

ヴェイルは本章で衝撃の本性を現した。以前リュールと友誼を結んだ彼女は、実は邪竜ソンブルの娘でありもう一つの人格を内包していたのである。

デスタン大教会前で再会した時、ヴェイルはいつもの柔和な顔つきで「あ…ごめんなさい!」と戸惑いを見せた。しかし直後に邪竜ソンブルが姿を表すと、ヴェイルの意識は闇に染まり別人のように冷酷な口調に変わる。

彼女は自らを「邪竜の娘」と名乗り、リュールから指輪と時水晶を奪い去る。リュールが必死に「返してください!」と訴えても、「あなた、欲しがり屋さんね」と嗤うばかりで取り合わない。

この豹変シーンは多くのプレイヤーにとって衝撃であり、「あの可憐なヴェイルが…嘘だろ?」と戦慄したことだろう。

ヴェイルには善良な人格(リュールが出会った姿)と、ソンブルに忠実な邪悪な人格があり、彼女自身もその間で翻弄されていることが示唆されている。実際、直前にリュールと再会した際、ヴェイルはリュールの指輪に目を留め「…紋…章士ノ…指輪……」と無意識に呟いた。

その瞬間目が据わり、邪悪な人格が表出しかけるが、自力で抑え込んで「!!…ごめんなさい!」と逃げ出している。

第7章ラストの場面でも、ヴェイルは独り言で兄への想いを語った後、瞳が赤く輝いていた。こうした描写から、ヴェイルの中で二つの意識がせめぎ合っていることが理解できる。

悲しいことに第10章では邪悪な人格が完全に勝り、ヴェイルはリュール達の敵に回つまた。しかし「ここで死なれては困る」と言ったように 、彼女はあくまでリュールを殺す気はない。その真意は未だ不明だが、ヴェイルの善なる心が完全に消えたわけではないとプレイヤーには感じ取れる絶妙な演出だった。

邪竜ソンブルと四狗

ついに本章で邪竜ソンブル自身が姿を現した。千年前、人間側に封印された宿敵が復活し、今また暗躍し始めたのである。

ソンブルは現時点では寡黙で、自ら戦闘に加わることはない。しかし圧倒的な邪気とカリスマで周囲を統べており、四狗たちも畏怖を込めて「ソンブル様」と呼び跪いている。

ソンブルの目的は全ての紋章士の指輪を集め、その力で世界を我が物にすること(後に判明)。そのため、四狗やイルシオン王家を利用し各地で指輪狩りを進めていた。

四狗とは彼の忠実なしもべで、セピア(四狗のリーダー格)、グリ、マロン、モーヴの4名から成る。彼らはソンブル復活に必要な儀式や指輪集めを裏で手引きしてきた存在であり、各人が卓越した戦闘能力と強烈な個性を持っている。

第10章ラストでは四狗それぞれのキャラクターが一挙に披露され、神竜軍を嘲弄する彼らの不敵さが印象付けられた。

戦闘マップ・攻略および演出

第10章は、前章の続きとしてデスタン大教会内部でのボスラッシュ戦となる。マップは玉座の間のような広間で、所々に柱や扉が配置された室内戦。

戦闘は2フェーズに分かれており、前半は広間入り口付近でオルテンシア隊(オルテンシア、ロサード、ゴルドマリー)を迎撃し、後半は奥の扉を破壊して玉座エリアで異形のモリオン&ハイアシンスを撃破する流れ。

連戦マップであり第11章までセーブや準備ができないため、この章突入前にしっかり補給・育成しておくことが攻略の鍵となる。

前半戦では、紋章士の指輪を持つオルテンシアが厄介な敵。ハイアシンス王から新たに与えられた《導き手の指輪》を装備したオルテンシアは、支援効果で敵全体を強化したり、天刻の拍動で一度だけターンを巻き戻す力を行使している。さらに彼女は高位魔法エルファイアーとルーン(魔法剣)、フリーズ杖を所持しており、後衛を凍結させ前衛を魔法で削る厄介な戦法を取る。

彼女の周囲にはロサード(ドラゴンナイト)ゴルドマリー(ブレイブヒーロー)が護衛し、左右から一般兵も迫ってくるため、開始早々ハードな布陣である。攻略のポイントは、まず左右の敵を各個撃破しつつ、オルテンシアに近づきすぎないこと。

敵フェイズでこちらが彼女の攻撃範囲に入ると、ベレトの奥義「神気」により敵増援が一斉強化される恐れがある(※実際は使用条件が限られる)。

そこで、極力正面の扉付近で待ち構え、左右の敵を片付ける。特に床に置かれた魔砲台(前章に続き登場)の射線に注意しつつ、守備の高いユニットで壁を作ろう。

オルテンシアのフリーズ杖は射程が長いが、命中率はそう高くないため祈るしかない。もし凍結したら、前に出すぎて各個撃破されないよう周囲でフォローする。

ある程度敵が減ったら、一気にオルテンシアを撃破しよう。飛行の彼女には弓特効が有効であり、エンゲージ技で一気にHPを削れば天刻で巻き戻す余裕も与えない。

幸いオルテンシアは復活石1つのみなので、二回集中攻撃すれば倒せる。撃破するとベレトの指輪が守護者(謎の黒フード、=ヴェイル)に回収されストーリー上入手はできないが、戦闘は楽になる。

後半戦はマップ奥の扉を破壊して玉座エリアへ突入する。扉を壊した瞬間、異形のモリオン王が一直線に突撃してくるので要注意。

モリオン王(ブレイブヒーロー)はHPが非常に高く、トマホークによる遠近両対応の猛攻でこちらを圧倒して来る。攻略サイトでは「扉を開けるとモリオンが突撃型AIに変わるので、まずは彼を迎撃して倒す」との助言があった。

実際、扉を開けたらすぐ引き返し、階段下あたりで守備の高いユニットを壁にして受け止めるのが安全。

モリオン王は必殺率も高いトマホークを振るうため、万全を期すならディアマンドにロイの「太陽」スキル(HP一定以上で耐える)を継承させておくと安心だろう。

全員のエンゲージ技を叩き込むなどしてモリオンを撃破すると、ハイアシンス王が動き始める。ハイアシンス王(マスターモンク)は紋章士リンを宿しており、体術・弓・剣を自在に扱う強敵。特に必殺奥義「流星群」による遠距離からの複数回攻撃は厄介で、飛行ユニットなら一撃で沈みかねない。

ハイアシンスはモリオン撃破後3ターン目または残存敵に接近した時に動き出すAIなので 、それまでに味方を回復床などで態勢を整え、残る雑魚敵(魔術師やアーマー)を処理しておく。

ハイアシンスは残像を2体召喚するため、そのまま突っ込むと最大3回分もらってしまう。しかし残像は攻撃せず次ターン再度残像召喚を優先する性質があるので、あえて残像のみ残しておくことでハイアシンスの攻撃を封じるテクニックもある。

安全策を取るならまず残像を全滅させ、再度出現するまでの猶予に総攻撃するのも手。

難易度ノーマル/ハードであれば、エンゲージ技連発でゴリ押ししてしまうのが早道だろう。ハイアシンスには復活石が1つあるので、最低2回の撃破が必要。

最終的にハイアシンスを撃破すればプレイヤー側の勝利となる…しかし物語上では、この勝利は束の間の幻と化した。

プレイヤー視点の考察・演出意図

第10章は、エンゲージ屈指の怒涛の鬱展開が詰め込まれた章だった。まず戦闘面では中ボス・大ボスが連続するタフなマップで、プレイヤーは持てる戦力を総結集して挑む必要がある。

味方の紋章士数も増えてきたことでエンゲージ技を惜しみなく使う総力戦が展開され、シリーズ伝統の“終章手前のクライマックス戦”にも匹敵する燃える戦闘が味わえた。

しかし、その勝利がもたらしたのは達成感ではなく、さらなる絶望。プレイヤーから大切なものを奪うというイベントは、ゲーム体験として非常に強烈だった。ここで失う紋章士の指輪は6個(マルス、シグルド、セリカ、リーフ、ロイ、ミカヤ)にも及び 、序盤から育んできた力が一瞬で奪われてしまう。

スキル継承や指輪の組み合わせを楽しんでいた矢先にそれを失うことは、プレイヤーにとって大きなショックだった。

実際、本章クリア後から中盤にかけて戦力がガタ落ちするため、難易度的にも辛くなります。これにより「大事なものを守れなかった」という物語上の喪失感と、「育成した戦力が無くなった」というゲーム上の喪失感がリンクし、プレイヤーの没入感は一気に高まった。

全てを奪われ丸腰で逃げるという第11章への流れは、従来のシリーズ作品にはない大胆な演出であり、プレイヤーの心に深く刻まれたはず。

キャラクター演出の観点では、ヴェイルと四狗の存在感が飛躍的に増した章だった。特にヴェイルは、それまで「可憐な友人」だった立ち位置から一転、「手強い宿敵」に変貌。

彼女が見せた二面性は物語の根幹に関わる謎であり、「彼女を救えるのか?倒すしかないのか?」というテーマをプレイヤーに突き付ける。

四狗に関しては、コミカルな自己紹介シーンに少し肩透かしを食ったという声もある。しかし敢えて緊迫した場面で彼らを滑稽に描くことで、かえって邪竜陣営の狂気性が際立ったとも言える。

また、本章ではモリオン王の死という物語上最大級の悲劇が描かれた。前章で捕らわれた時点で覚悟はしていたが、いざ異形兵となった姿を見せつけられた時の衝撃は凄まじいものがあった。

何よりそのモリオンを息子たちが討たねばならない残酷さは、シリーズでも類を見ない展開。プレイヤーとしても彼らの痛みを想像し、胸が締め付けられる思いだっただろう。

加えて、ハイアシンス王もこの章で死亡した可能性が高い(※実際は第11章で再登場しますが一度退場扱い)。もし彼がこの場で命を落としていれば、オルテンシアは両親を一度に失ったことになる。

リュール達主人公側だけでなく、敵国側の犠牲も大きいことが示唆され、戦争の無情さが際立った。

総括すると、第10章「邪竜ソンブル」は物語の折り返し点に相応しく、絶望のどん底にプレイヤーと登場人物達を叩き落とした章だった。

ここから彼らは何を頼りに戦えば良いのか?という問いが残され、物語は新たな展開へなだれ込む。

この後、第11章「撤退」での必死の逃走劇、そして新天地ソルム王国での再起が描かれていくことになる。

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